ボク 待ってたよ

Le Cafe de Petit Chien

Mes cinq bijouxs.

 ボク 待ってたよ

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お母さんとは2ヶ月も一緒にいないうちに何処かへ連れていかれたの。
暗い段ボールの中で怖くて震えちゃったよ。
やっと到着したらとっても明るい場所で、いろんな犬の声がする。
ちっちゃなガラス戸のケースに入れられて、今度はここがボクの家?

毎日たくさんの人がボクを見て、可愛いねと言ってくれるけど、
必ずその後、かかげられてた値段に目を丸くする。
そして、もう二度と目をあわせてくれない。

ある日、黒い雌犬を連れた女の人がボクの前にきた。
一生懸命吠えたり、チンチンしてアピールしたよ。
そしたら黒い仔がボクに興味をしめしてくれたんだ。
「桃花、一目ぼれしちゃったの?」という彼女もみんなと同じことをいったけど
それからもボクのところへいつも来てくれた。
黒い仔を連れて・・・


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そうしているうちにボクはこのガラス戸のケースの中で、
2ヶ月も暮らしていることに気が付いた。
お隣の仔も今は4匹目に変わっている。
店長さんがやってきて、またボクを段ボールに入れた。
ボクはやっと誰かのお家にいけると思って、とても嬉しかった。

でも着いたところは、また別の同じようなところ。
前よりは少し広くなったけど、全部がガラス張りで落ち着かない。
それに天井の隙間から子供が手を入れてボクをつかんだり、たたいたりするんだ。
可愛がってくれてるんだろうけど、ボクはとっても怖くてワンワン吠えまくったよ。
もう、あの黒い仔を連れた女の人にも会えずにいた。
いいお家に行けて良かったと思ってるだろうなあ。
ボクはそこでまた1ヶ月暮らした。


7月になって、お店の人がボクを見ながらこんなことを言っていた。
「片方の睾丸も降りてないし、無駄吠えも多いし、
 こんなに値段を下げても売れ残っている。
 しかたない。明日、わんわん動物園へ移そう」

その日はお客さんも少なくて、いよいよ動物園にいくんだなと思った。
夕方、やっと男の人がボクの前に立った。
その連れの女の人を見て驚いた。だって、黒い仔の人なんだ!!
彼女もビックリしていた。でも、買い物を済ませると出ていったんだ。
すごくがっかりした。


もう夜になる。そろそろ閉店の時間だ。
そしたら、来てくれたんだ! 黒い仔も連れて!
ギュッと抱いて、今日から家の仔だよと言ってくれた。

ボク、ずっとずっと待ってたんだよ!